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【文章で自己表現はできない】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎

 

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

 

【概要】

「文章を書こう」と決心、でも書けない。

「自分には語彙力がないから」「文章スキルが無いから」「時間が無いから」

それらもっともな言い訳を全部ひっくるめてぶっ飛ばしてしまう文章読本

 

 【アマゾンの紹介】

文章はほめられたいから書くのか? 人気コラムを連載し続けてきた著者が、プロとアマの文章の違いを語り、書けずにいる人の背中を強く押す、実践的文章法。 

【目次】

1章 プロとアマチュアの決定的な差

2章 文章は人を変えるために書け

3章 客観的に書かれた文章は使えない

4章 直感のみが文章をおもしろくする

5章 文章は言い切らないといけない

6章 文章で自己表現はできない

7章 事前に考えたことし書かれてない文章は失敗である

8章 文章を書くのは頭ではなく肉体の作業

9章 踊りながら書け

 【ポイント】

◆1 いま持ってる言葉で書けばいい

私が設定しているのは「文章を書いてみたいけど、うまくいかない。もしくは、書こうとして、なかなかうまく書き出せない。少しだけ書いてもそれ以上書き進めず、困っている」という人たちです。

ここで真っ当に悩むと、

「私がうまくいかないのは正しい方法を知らないからだ、どこかに文章を書く正しい方法があるに違いない」と考えてしまう。

そして、ライター講座にいったり、本を買ったり、インターネットで検索したりする。この人たちには欠落感がある。そして、それが間違っている。(中略)

そんなところに、正しい文章世界は存在しない。

あなたは、あなたがいま持ってる言葉で書けばいい。

 ◆2 辞書を引くんだ。ふーん。

駆け出しのとき、ラブホテルの雑誌を作ってる編集現場で、いちど、原稿を書いている最中に、何となく国語辞典を引いていたことがある。そのとき、前に座っていたライターに鼻で笑われた。「辞書を引くんだ。ふーん。ずいぶん高尚なものを書いているんだね」と言われた。(中略)

そのときはすぐわからなかったけれど、あとで気づいた。「原稿書いてるときに、こいつ、辞書、引いてるよ、何を無理に気取ろうとしてるんだ。馬鹿じゃないのか」という意味だったのだ。

戦場での比喩でいえば、「敵と遭遇してまさに戦いが始まろうとしてるときに、こいつ、“最新鋭の銃の扱い方について”なんてマニュアル読んでるよ。あにやってんだよ。使いなれた武器だけを使え」ということになるだろう。

だからわたしが生徒に教えるのはいつもひとつである。

「辞書はインプットのときに引こう。アウトプットのときは自前の言葉でやろう」

 

◆3 意識を変えろ、文章を書くことはサービス業だ

文章を書くことの根本精神はサービスにある。

文章を書くプロはあきらかにサービス業者なのだ。金をもらって文章を書くかぎり、みんなその意識をもっている。(中略)

サービスとは「読んでる人のことを、いつも考えていること」である。

言ってしまえば、それだけのことだ。

文章を書くときに、読む人のことをいつも考えて、書く。

本当にそのことさえ押さえておけば、あと気にするのは細かいことだけだ。

 ◆4 文章を書くのは、人を変えるためである

どうい文章を人はおもしろいとおもうのか。

「知らなかったことを知る」

そのとき、人は面白いとおもう。

簡単に言ってしまうとそうなる。

知らなかったことを知ったときに、人は、何かが変わった感じがする。本当に変わったかどうかはわからない、でも、自分で何かが変わったとおもうことが大事だ。

だから、おもしろい文章とは、読んだ人が何か変わったと感じる文章ということだ。文章を書くほうは、それに応えなければいけない。

 

◆5 自己表現をしたい人は文章書きになれない理由

あまり世に意識されていない、文章書きとしての資質。

それは「さほど熱心でない読者をこちらに振り向かせる工夫が好きかどうか」である。

工夫が好きか。

これが嫌いなら、まず文章書きを目指さないほうがいい。多くの人に読んでもらうことはあきらめたほうがいいとおもう。それでも目指したいなら、いまから工夫好きになるしかない。

「自分が書いたものをそのまま受け入れてほしい」という気持ちが強い人は、文章を書いてもしかたがない、ということだ。そして、あてもなく文章を書いてる人には、残念ながらそういうタイプの人が多いのだ。ここにもプロとアマを決定的に沸ける境目がある。

 

◆5 もったいぶるな、結論から書け

ライター講座の生徒さんが出してくれる課題を見ていると、とにかく結論が遅い。

もってまわった言い方になる。つまりもったいぶってる。

もったいぶられても困る。それは恋人同士のやりとりのときしか有効でない。

ひょっとして、世の中の人間関係は、すべて恋人同士の感覚で押し通すのが有効だと考えてるんではないかと、おそろしくなる。それくらい、みんな、もったいぶる。

企画書で“サプライズ”を感じたさせたいみたいだ。「え、最初、気づかなかった。びっくりだよ、もう」と言わせたいみたいである。ふっふ。ほんと、ひとこと、言わせてもらいたい。企画書にサプライズを盛り込もうとしてる人にひとこと、言わせてもらいたい。ばか。

なんで、恋人でもない相手と“時間を共有”しなきゃいけないんだ。

◆6 時間軸の誘惑

時間軸に沿って書くな、というのも、最初はなかなかむずかしい。(中略)

あくまで「自分の身に起こったことなので、時間の流れのとおりに文章が続いていかないと、気持ちが悪い、どうしても時間の流れどおりに文章は残したい」と考えるのなら、文章書きになるのはあきらめたほうがいい。記録として残して、そのまま埋もれさせていくしかない。そういう人が大事なのは自分であって、読者ではない。文章をサービス業と考えられない時点で、多くの人に文章を提供する人にはなれない。

◆7 文章は暴走する。

 文章を書き始めると、書き手には制御はできない。

文章は暴走する。

もともと制御するつもりもない。

書いてる最中に、新たなアイデアが浮かんでくる。逃がさないようにして、いま書いてる文章に取り込む。その繰り返しである。書いているから、新たなアイデアが浮かんでくるのである。書いてる最中に何も新しいことが浮かんでこなければ、それは失敗だ。(中略)

書いていて何が楽しいかって、書く前には想像もしなかった出来上がりになるからだ。

へー、これ、おれが書いたものなんだー、とあとで自分が感心できるのが、いちばんいい文章である。

 【感想】

ボコボコに殴られた気分。読んでる最中、あまりの攻撃に眩暈がした。

ここでは、怠惰なぼくらの筆不精は、格好の餌食。そしていっぱしの芸術家きどりのポエマーも速攻に退場を余儀なくされる。

でもやさしいよね、ここまで言い切ってくれるのは。

だって一般的な文章読本はきらめく美文が踊ってるばかりで、読者のことなんて置いてけぼりなことが多い。いや、向こうには向こうの気遣いがあるのかもしれないけど、あんまり頭に入ってこないどころか、無力感すらかんじてしまう。圧倒的な力量の差に。

けどこの文章本は違う。ビシバシくる。「こう思ってんじゃないの?」「はい、それ、アマチュア発想!」てな具合。

そして猛烈に殴りこみながら、文章初心者に勇気もあたえてしまうのがすごいところ。

書けないのは国語力の問題ではない。意識の問題なのだ。(中略)

つまり、自分の立場から書くんではなくて、読者の気持ちにリアルになって書け、ということ。つまり意識を変える。意識を変えるといきなり書ける可能性が高まる。意識を変えるのは、なかなか難しいけれど、変わるのは一瞬の出来事である。

 

 ところで、著者の堀井さんてあの日本テレビ系列の「TVおじゃマンボウ」に「TVウォッチャー」

 として出てたあの堀井さんなんですね。あの頃は、てっきりアナウンサーだと思い込んでました。フリーライターさんだったなんて。こんなに面白い文章を書く人だったんですね。

立ち読みした目次からしてすでに面白かったのが購入の決め手でした。