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【使えない】『使う力』御立尚資

 

使う力 知識とスキルを結果につなげる (PHPビジネス新書)

使う力 知識とスキルを結果につなげる (PHPビジネス新書)

 

 【アマゾンの紹介】

ロジカル・シンキングにプレゼンテーション、コーチングなど、とかく勉強することが求められる昨今。だが、いくら知識やスキルを身につけても現場で使いこなせない、という人は多いだろう。また、次々と現れる新たなビジネス理論に「一体、どこまで学べばいいんだ!」と悩んでいる人もいるのではないだろうか?著者は、そういった知識をいくら身につけても、「使う力」がなければ成果を出すことはできない、と主張する。では、その「使う力」とは何なのかを、「知識やスキルを使って結果を出す」プロである、ボストン・コンサルティング・グループ日本代表が解き明かすのが本書である。世の中に出回っているあらゆる知識とスキルを整理・統合し、「どうやって学べばいいのか」を説く章はまさに目からウロコの内容。さらにはその「使う力」を、企画立案や会議といった実際の仕事の中でどう高めていくかまでを説く。 

【感想】 

マイブームのPHPビジネス新書集めにとどめをさしてくれた一冊です。

もう二度と、PHPビジネス新書だから買おう、とか思わないことを残念ながら固く決意するに至りました。

平行して読んでた『ウルトラマラソン』(ディーン・カーナゼス)が素晴らしすぎて、対照的にこっちには辛く当たりたくなるのかもしれませんけど、それにしてもひどい内容。

「10冊買ったら、9冊は外れ」(by勝間和代 『決断』小飼弾との対談にて)って言葉が思い起こすくらい。

どこがひどいかを考えていくのがこのブログを書く目的。

【気になる点】

◆1 「使う力」の定義づけまでが長い点

第一章をまるまるビジネスリーダーの基本条件という余談に費やしたあと、ようやく第二章で「使う力」が解説されます。いや実際には、解説でなく、定義づけ、しかもその定義づけが難しいと言い出します。

「使う力」が見落とされがちだった最大の理由は、これまできちんとした「定義」がされてこなかったことにある。言語化されていない、あるいは、形式知化されていない、と言ってよい。

個人的には「使う力」は「(知識)を使う(のに必要な)力」だけで言語化されている気もしないではなく、さらに定義するのは屋上屋を架すに似るのだけど、もしかしたらぐっとくる定義づけがくるのかもしれず、まだ読み進めました。

使う力」がこれまで見落とされがちだった原因としては、定義が難しいということの他に、もうひとつ大きな要素がある。それは、いろいろな分野の人たちが、「使う力」に類似した能力・スキルを取り上げ、その重要性をめいめい独自のやり方で主張してきたことだ。

たとえば、(以下略)

定義づけを、難しいんだよねといったん保留して宙ぶらりにしたままなのに、それと類似した知識やスキルがあると言い出し、そちらの紹介が急遽始まります。

その紹介文に付き合うと、まず「情報収集力」や「分析力」などの「人事型能力定義」があるとのこと。「ただ残念なことに」と残念がり、これらには「「使う力」の定義とするには決定的な弱点がある」と来ます。「いろいろな分野の人たち」がだれも「使う力」の定義づけをしたがっていないのに弱点を指摘されます。びっくりです。

その弱点というのは、「一体どうやってその能力を身につけたらよいのか、皆目見当がつかないのだ。」そう。

そしてその様子をたとえるのに、次の衝撃的な一節が続きます。

落語家の真打昇進基準にあてはめて考えて見よう。

実際にどうなっているのかを知っているわけではないので、仮定の話として進めさせていただく。p37

 

 突如はじまる空想の真打昇進物語。

告白します、この時点で一回放り投げました。物理的に。

だってこの人、前の章で、

われわれコンサルタントが新しいクライアントと仕事をするときも、まずはその会社、その業界の常識を理解した上で、第三者として新たな視点を提供することになる。p24

とおっしゃってたんですよ。クライアントじゃないから落語家の常識は理解しなくていいってことなんでしょうね。

◆◆◆

その物語がおわると、また次の「使う力」に似ていると言い張る知識が紹介されます。

(ちなみにこの落語のたとえがこの後も何度か顔を出します。落語にはまっていた頃に書いたのでしょうか)

二つ目の似ている知識を「一芸型能力定義」というのだそうです。内容は略。

 

◆2 定義づけをあきらめるだす点

そうしていよいよ「使う力」の定義づけが始まります。

始まりはしますけどここでも、まだ定義づけを渋ります。

なぜか定義づけのための「三つの必要条件」が説かれるのです。

引用しましょう。

第一の条件は、実際にビジネスリーダーが果たすべき役割に即していて、「使う力」を身につける上で到達目標として使えること。

長い。。。そしてわかりづらい。

どんどんいきましょう

第二に、スキルとして、習得方法が明らかにされていること。言い換えれば。適切な入門書が存在するようなスキルであること。

これわかりやすいんですけど、

そもそも本書を手にした人って、「使う力」の習得方法が明らかにされてて、その「適切な入門書」に本書がなっていることを期待してたと思うんですが。

その果たすべき役割は、「使う力」の定義づけの必要条件のその第二条にしかなれないんですね。

つづいて三番目。

私自身は、さらに、普段の仕事の中で身につけるという意識を持てば、力を伸ばしていけること、というのも第三の必要条件だと考えている。

急に「私自身は~考えている」とか言い出します。

ん、他の二つは、他人が考えていることなのかな?と読み返しましたが、そんなことは書かれてません。なぜここに至って「私」が顔を出すのか。謎です。

 

三つとも書き出してみましたが、実はこれら3つの「必要条件」、この次の節で見直されます。

残念なことに、世の中にこの三点を同時に満たすような「ひとつの定義」は存在しない。中略)

もう一度原点に立ち返ってみると、そもそも「使う力」を定義する最大の目的は、「身につけやすい形で理解する」ということだった。したがって、三つの条件を無理やりひとつにまとめるのではなく、三種類のものの見方を残し、ただし、出来る限り「使う力」を身につけるのに役立つ形で表現する、というのが次善の手となる。p44

ここで白旗があがるのです。

「ひとつの定義」は存在しないらしいです。

だから「役立つ形」でさっきの3つの必要条件を書き換えだします。

いやいや最初から定義づけなんて期待してなかったし、

でも出来る風な雰囲気を出すから辛抱しながら読んでいたのに。

それに、3つの必要条件だって最初から「役立つ形」で書いておけばよかったのでは。

なぜ役立たない形で書いたのか。

 

どうもこの著者は、

自分がどう考えて、そこまで至ったかを読者に是非知ってほしいらしいのです。

読者にしてみれば、結論をまず書けよって言いたくなります、そしてわかりやすく書けよって言いたくなります。

 

ちなみにこのあとこれら3つの必要条件が書き換えられます。

①到達目標としての「使う力」

=情報を加工・統合し、意思決定する力+人と組織を動かし、結果を出す力

という風に。

 

◆3 入り口となるスキル群が多すぎる

タイトルのままです。「とっかかりとして習得すべきスキル」として挙げられるスキル群の数がまあ多すぎです。

書き出します。

ロジカルシンキング

○図解の技術

○構造化

○モデル構築

○定量化

○グラフ発想

○クリエイティブシンキング

○プレゼンテーション

ファシリテーション

ネゴシエーション

○アクティブ・リスニング

コーチン

横文字の洪水で頭痛がしそうです。

 

大体、『使う力』というタイトルを手に取る人は、ビジネス本ブームで頭でっかちになった状態から脱したいと思っていた人なはずです。

知識から実践への手がかりが得たかったのではないでしょうか。

にもかかわらず「使う力」を得るための山のような知識を延々と説かれることになるのですからたまったもんじゃない。

 

 

これで第二章はおわり、第三章からは「日常の仕事に即した形で、複数の「使う力」の要素が活かされている状況を見ていく」ことになります。

第三章は企画

第四章はコミュニケーション

と「使う力」との関係が説かれます。

【感想】

知識を使う力を紹介するはずなのに、その「使うための知識」を延々書き並べて、増やしてくれる怪書。興味をもたれた方はぜひ。